こんにちは!今回ご紹介するのは、Floris Gierman氏が運営するWebサイト&Podcast「Extramilest Show」にて公開されたYouTube動画、『Zone 2 Training For Beginners & Advanced Athletes』の内容をまとめた解説記事です。
この動画、ただの解説じゃありません。
なんと投稿者は実際にサブ3(2時間57分)をトラックで走りながら、Zone 2=低心拍トレーニングのすべてを語ってくれます。
初心者もベテランも、今こそ知っておきたいトレーニング理論。
今回は、内容を完全日本語化しつつ、必要な情報だけをわかりやすくまとめてお届けします!
🎥 今回の元動画はこちら!
Zone 2 Training For Beginners & Advanced Athletes – YouTube
投稿者はFloris Giermanさん。「ExtraMile Show」というランナー向けPodcastも運営していて、 この動画もかなり面白いのでぜひチェックしてみてください!
1. Zone 2トレーニングとは?
Zone 2トレーニング、いわゆる「低心拍トレーニング」は、心拍数をある一定のゾーン(Zone 2)に保ちながら走ることを目的とした方法です。
一言でいえば、
“速く走るために、あえてゆっくり走るトレーニング”。
心肺に余裕を残したまま、効率よく走る能力を高めていくというものです。
この「Zone 2」というのは、有酸素運動としての最適な心拍数ゾーンのことで、糖ではなく脂肪をエネルギー源として使うよう身体を慣らしていきます。
その結果、
- 長く走れる
- 疲れにくい
- エネルギー切れを起こしにくい
といった、マラソンランナーにとって理想的なベースが作られていくのです。
2. なぜ今、低心拍トレーニングなのか?
Floris Gierman氏が10年以上にわたって続けてきたZone 2トレーニング。
彼がこの方法を“万人におすすめできる”と語る理由は、大きく3つあります。
① ケガのリスクを圧倒的に下げてくれる
ランナーの半数以上が毎年ケガを経験していると言われています。
その多くは、“強度が高すぎるトレーニング”が原因。
Zone 2でのトレーニングなら、体への負荷が少なく、筋肉・腱・靭帯・骨などをじっくり適応させながら走力を上げることが可能。
トレーニングの継続性が上がり、結果としてケガなく速くなれるというメリットがあります。
② 走ることが「快適で気持ちいい」
Zone 2でのランニングは、会話ができるペース。
だから、走っていて気持ちいいし、終わった後もエネルギーが残る。
「走り終わってヘロヘロ」は非エリートランナーにとって非効率。
家事も仕事もある一般ランナーにとって、Zone 2は日常生活の中に無理なく溶け込む、まさに“持続可能なトレーニング”なのです。
③ 同じ心拍で、どんどん速くなる
Zone 2トレーニングを継続していると、同じ心拍数でも徐々にペースが上がってくるという変化が起きます。
これは、心肺機能や代謝効率が改善されている証拠。
つまり、「心拍数は変わらないのに、以前より速く・楽に走れる」状態に近づいていくのです。
3. 心拍ゾーンの計算方法5選
Zone 2のトレーニングゾーンを把握するには、5つの方法があります。
● 鼻呼吸テスト(初心者向け)
鼻だけで呼吸できるペースで走る。口を閉じて、もしキツくなったらペースを落とす。機器なしで簡単に始められるが、正確性はやや低め。
● 会話テスト(初心者向け)
15分ほどウォームアップしたあと、「会話ができるペース」で走る。息が切れ始めたらペースダウン。こちらも直感的で使いやすい方法。
● 計算式(最大心拍数−安静時心拍数)
HRR(Heart Rate Reserve)などの計算式を用いて、ゾーンを設定する方法。ただし、最大心拍数の正確な把握が難しいことも。
● MAF法(180−年齢)
Dr.フィル・マフェトン提唱のシンプルな計算法。健康状態や運動歴に応じて±調整を加えるのがポイント。安全性が高く、使いやすい。
● 血中乳酸測定(上級者向け)
医療機関で乳酸値を測定し、正確なゾーンを割り出す。高精度だが高コストで、実施のハードルは高い。
4. よくある悩みとその対策
Zone 2トレーニングを始めたばかりのランナーがぶつかる壁、それは…
「とにかく遅すぎてつらい!」
- 歩くレベルまで落とさないと心拍が下がらない
- 友達よりも遅くて恥ずかしい
- Stravaに遅い記録を載せたくない
でも大丈夫。Floris氏も、そして多くの経験者も、最初は**「あるある」です。**
解決策は:
- Talk Testや鼻呼吸法などで“ざっくり”感覚を掴む
- 心拍計に頼りすぎず「少し余裕があるかどうか」を判断基準にする
- 1ヶ月2ヶ月のスパンではなく「半年〜1年」で変化を見守る
なにより、「今のスピード=今の自分のベース」として受け入れることが、成長への第一歩です。
5. トレーニング量の考え方
Zone 2が大切なのは分かった。じゃあ、どれくらいやればいい?
答えはシンプルで、
「自分の生活に合う量を、継続できるペースで」。
Floris氏自身、現在は子育てや仕事の忙しさもあり、かつてのように週80マイルも走れません。今はボリュームよりも「睡眠・回復・ストレス管理」を重視しています。
トレーニングは、「刺激→回復→成長」の流れがあって初めて成果になります。
適切な量・質・タイミングを、自分の身体と相談しながら調整していきましょう。
6. スピード練習はいつから?どうやって?
Zone 2だけでも効果は出ますが、レースに向けてスピードも必要ですよね。
Floris氏の推奨は:
- 最低3ヶ月はZone 2だけで基礎を作る
- その後、少しずつスピードを入れていく
最初は心拍+10〜15拍程度の軽い刺激から。
たとえば、400m×4本(R=1分)を“7〜8割の力”で。
または、ロング走の後半5kmだけマラソンペースで走る「ビルドアップ」も◎
ポイントは、
“やりすぎないこと”。
速くなるためにスピードを入れるのではなく、Zone 2で作った“土台”を活かすためのスパイスとして捉えましょう。
7. まとめ:ゆっくりは、強さに変わる
Zone 2トレーニングは、最初こそ「こんなに遅くて大丈夫?」と不安になるかもしれません。
でも、その“ゆっくり”こそが、最強の武器になる未来の第一歩。
- ケガを防ぎ
- 長く走れて
- レース後半でもエネルギーが切れない
そんなランナーを目指すなら、まずは今日から“ゆっくり”を始めてみてください。
未来の自分が感謝するトレーニング、それがZone 2です。
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